スポーツ活動中止・再開についてのガイドライン
 
下肢の肉離れ
肉離れの90%以上が下肢の起こり、その大部分がハムストリング・大腿四頭筋・腓腹筋です。若年者では大腿四頭筋とハムストリングに起こり、壮年以降は腓腹筋の損傷割合が増えてきます。

治療について
図1 RICE 安静・冷却・圧迫は、受傷直後から成されているが、挙上は、不十分であることが多い。

発症直後は、損傷を大きくしないことと、出血を最小限にすることが重要なポイントになります。受傷直後から48時間はRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)を徹底させます。
歩行時痛があれば、松葉杖にて免荷、高度なもの(筋断裂)であればギプス固定とします。

48時間後の後療法
痛みが取れ次第自動運動を開始し、ストレッチ、筋力トレーニングを行う。
リハビリは、自発痛・圧痛・ストレッチング痛・抵抗運動時の痛みなどの程度を参考にして段階的に行います。
等尺性の運動は痛みを見ながら早期に始め、各関節の動きが十分になれば積極的なストレッチ(PNFストレッチなど)を行い、等張性・等速度性運動を始めます。

筋力の評価
−以下の運動で筋力の改善度の目安とします
(図3〜5はミニトランポリン上で行うのが望ましいが、通常の床でもよい)
図2 ハムストリングの筋力評価 図3 スクワット 図4 ヒールレイズ・トウレイズ 図5 片足フルスクワット
ゴムチューブを使ったハムストリングの筋力トレーニング。健側と比べることによって筋力の回復度を測る。 スクワットによる大腿4頭筋の筋力評価。体幹は直立し、膝は母趾の方向に曲げることに注意。30回を目標 ヒールレイズ・トウレイズは、下腿3頭筋の筋力評価 片足フルスクワット
この姿勢で30秒間保てないとランニング開始はできない。
 
 
 
 
 
短距離選手の肉離れ(特にハムストリング)は、ジョグからダッシュの間に再発率が高いので 特に注意が必要です。筋力が回復した後でも全力疾走は行わず、複合運動、協調運動など のトレーニングを行ってからスピードを上げていくことを推奨します。
図6 体幹・下肢の協調運動 図7 エキセントリック運動 図8 ラダー(はしご)トレーニング
腕で身体を支えて片足を浮かせ反対脚で腰を前方に浮かせる。ランニング時に地面を蹴り重心移動する動作をイメージする。 膝を深く曲げた状態で歩行する。体幹の姿勢に注意。ハムストリングのエキセントリック運動 神経筋協調性トレーニングとしてのラダー(はしご)トレーニング
このほかいろいろバリエーションを加えると良い。
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