雷とは
以前は「雷」と言えば夏のものとばかり思っておりましたが、近年テレビの天気予報を見ておりますと、雷注意報が非常に目につきます。そこで雷とはどんなものであろうと辞書をひもといてみました。種類には次のようなものがありました。
@熱雷:夏の午後の内陸部の雷や 火山雷。
A界雷:前線に伴うもの。
B上層の寒気による雷:大気が不安定となり上下の激しい対流が起こり、雷が発生する。
C渦雷:低気圧や台風の中心付近で上昇気流の盛んなところに現れるもの。
感電による障害
50 〜150Vの直流では感電することはほとんどありませんが、
45〜150Vの交流は要注意であり、150〜300Vの交流は危険が大であり、300V以上の交流は致死的と言われております。雷の電気量は1回数万A、電圧は10億Vにも達し、5000Vの
落雷では 100Wの電球7000個を8時間点灯できるエネルギーをもっていると言われます。このことからも推測できるように、雷に直撃されたらひとたまりもありません。そのような理由で予防に努めるべく気象庁では雷注意報を出し、度々警告を発している訳です。
感電による症状
@電気傷害に特有なのはジュール熱による組織の温熱的傷害であって電流の出入部において電流斑といわれる軽度の場合には膨隆した灰白色斑ができ、高度の場合には黒褐色に炭化した噴火口状の創面が見られ表面はたいてい乾燥しています。これは灼熱と電気分解作用とでできる壊死巣であって基底を深部にもつ楔形に広まり、骨、関節、その他深部組織までも犯すことがあります。
Aまた、電紋といわれる電流の流出入 部位から種々の方向に樹脂状、帯状 、蛇行状などの形を示す赤褐色ない し鮮紅色の皮膚の線状斑が見られることがあります。
B筋肉にはテタヌス様の痙攣が起こります。
C手足には一過性の知覚・運動マヒが見られることがあります。
D循環器系に起こる障害としては 0.1アンペアの電流が手から足に抜けると心室細動が起こります。また 恒久性の不整脈や期外収縮が起こることもあります。
E中枢神経系としては意識喪失、呼吸マヒが起こります。
F一次性ショックで心臓停止。感電で心臓が止まった後もなお声が出ることもあります。
救急処置
重要なことは、感電により完全に意識が消失し、脈拍、心音、呼吸が消失していても救急蘇生法を早期に実施することにより、救命される可
能性が大きいということです。
救急蘇生法ABC
A (Airway 気道確保)
B (Breathing 口対口人工呼吸法)
C (Circulation 心マッサージ)
を根気強くやらなければいけません。 局所の応急処置はどちらかと言えば保存的として、事故が起こったら早急に救急隊へ依頼することです。
口対口人工呼吸法:拇指と示指で患者の鼻をつまみ、吹き込んだ空気が漏れないようにする。5秒に1回程度行う。(1分間約12回)
心マッサージ:患者の体位は
水平背臥位として、出来れば下肢を挙上する。
1秒に1回の割りで、胸骨を背骨に向かって3〜5cm真っすぐ圧迫する
落雷に対する予防策
人間の身体の内部は電気の導体で、それを皮膚という絶縁体が覆っているが、それほど強力な絶縁体でないので、人間そのものが、絶好の落雷の対象物になっています。そうしたことを念頭に置いて予防を考えてください。
@大勢が一団となっていると、それだけ落雷しやすい導体部分の面積がふえて危険であるから、なるべくばらばらになること。 とくに広いグランドなどでの競技練習中、雷が近づいてきた ら固まっての移動は避け、散らばって避難をするよう心掛けてください。
A雷をもたらす雷雲(積乱雲)は2,000mから 10,000mの高さで発生するので、高度3,000mというのは雷雲の真っ只中にいるわけで、しかもいちばん活動の激しいところで、ことに稜線では雷撃の可能性が非常に大きいです。閃光は地を這って走り、足元でピカピカ光り雷が鳴り出します。雷撃は水平だけでなく、下からも襲ってきます。ピッケルや頭部付近の金属は速やかに身体から離すように心掛けます。
B山で雷鳴が聞こえ出しましたらできるだけ早く山頂、尾根、岩場、水際から離れるようにすること。携帯ラジオに雑音が強く入り出すことで、落雷が近づいたことが予知できます。
C姿勢はできるだけ低くしましょう。ゴルファーが平坦なコースで、クラブなど金属をもって立っていることは最も被害に逢いやすい状態におくことになります。
D森や林は一応安全地帯でありますが、ゴルフコースの大樹には落雷しやすいので注意しましょう。高い木の下には絶対近寄らないことと、大樹から2m以上離れることです。
E傘、ゴルフクラブ、金属バットなどの金属製のもの、また非金属製のものでも頭より高く突き出るものとして釣竿などは手放すことです。
F鉄筋コンクリートの中や自動車、電車の中などは安全ですが、自転車、オートバイなどは危険です。
G木造家屋では、アンテナ、電灯線、柱、壁の近くからは離れていたほうが安全です。
稿を終えた後、親友から稜線での雷のこわさを教えられると同時に、漁場で遠雷を聞いた直後、カーボンの釣竿に電気の流れるのを感じ脅威を覚えた旨の話を聞かされたことを書き加えます。