「成長期に起こりやすい痛み」

   
  いわゆる骨端症(こったんしょう)とは、成長期に成長軟骨の部分で障害を起こす病気ですが、特にスポーツによって起こりやすくなります。

1.年齢で痛む部位が違う
成長する骨によって痛む場所と年齢が違います。かかと⇒小学2〜5年生膝⇒小学校高学年〜中学生腰⇒高校生 

2.かかとの骨端症
 10歳ぐらいの男児で走ることが多い子に多いようです。(図1)これは下腿3頭筋が、かかとの骨の成長軟骨を刺激することによって起こります。最初は走るとかかとが痛いといいます。

3.膝の骨端症
 オスグッド病として有名です。(図2)11歳から15歳ぐらいの走ったり・ジャンプするスポーツに出現します。たいていは18歳頃までに治りますが、お皿の下の骨がでたままになることもあります。


 

図1走ったり歩いたりすると踵が痛む
図2膝のお皿の下 が痛い
 

4.なぜ成長期に起こる。
 左の図は、足の骨と、運動する時一番よく使う足の筋肉の図です。
成長は、ほとんど骨だけがのび、筋肉はそれに伴って引っ張られて成長していきます。
そのためにこの時期には筋肉は伸ばされた状態になっています。(矢印@)
 10歳頃になるとふくらはぎの筋肉がついてるかかとの後面に成長軟骨が出現してきます。
ここが刺激されて痛むのです。(矢印A)
 12歳ぐらいになると、大腿前面の筋肉がお皿の下についているところ(B)に成長骨が出現するために成長軟骨が痛みやすくなります。(矢印B)                    
 
5.腰の骨端症
 あまり知られていませんが、中学から高校までのスポーツによる腰痛で案外多いものです。やはり骨盤に成長軟骨が出現するために起こります。しかし腰痛はスポーツ選手にとって致命傷なので、腰が痛ければすぐ専門医でレントゲン検査を受けた方が無難でしょう。

6.予防法は、
 年齢とオーバーユース(使い過ぎ)によるものが大半なので、成長期には、練習量・練習方法を考えることが重要ですが、ストレッチが不足していることも原因です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

   
 

T ストレッチの方法 (No13 もう一度ストレッチについて考える参照)   
 各筋肉を順番に伸ばしていきます。方法はいろいろありますが時間をかけて(10−20秒位)ゆっくり伸ばすのがポイントです。運動前に必ずおこなう習慣を付けましょう

 

@足指のストレッチ
  シンスプリントの予防です(図4)


A下腿三筋のストレッチ
どんなスポーツでも行うこと(図5)

B大腿4頭筋のストレッチ
  どんなスポーツでも行うこと(図6)

C大腿後面の筋肉のストレッチ
  腰痛と大腿後面の筋肉の柔軟性の低下は、とても関係があります。特に骨盤の痛みがある人は大腿が固いようです。(図7)

D背筋のストレッチ
  寝ておこなった方が安全です(図8・9)

E背筋のストレッチ
 捻る時は必ず寝て、特にゆっくり行う。

U いきなり運動しない
 運動前のウォーミングアップや、クールダウンは、当然です。さらに、運動の合間や、終了後のクーリング(水道水で、2−3分冷やす)なども有効です。 

V 筋肉のバランスを考える。
 同じスポーツばかりおこなっていると同じ筋肉しか使いません。週に2回ぐらいは、使わない筋肉を中心にウエイトトレーニングをおこなうことも防止になります。オスグッド病を防ぐためには、レッグカール、腰痛を防ぐために腹筋や背筋の強化が役立ちます。(図10.11.12.13)
 

レッグエクステンション(図10)
大腿4頭筋のトレーニング 

レッグカール(案外行われていません)(図11)
太ももの後面の筋肉のトレーニング 

腹筋(この図はクランチャースタイルで行ってます)(図12) 

背筋のトレーニング(図13)
始めはゆっくり勢いをつけないで行う 

痛みがでてしまったら
 運動中のみの痛みでは、練習量を減らしたり、練習方法を工夫するだけでよいのですが、日常でも痛ければ、スポーツはさけるべきです。レントゲン検査もおこなわなければなりません。たとえば膝のオスグット病では症状を3つの状態で分けて治療します。

1度:運動後に痛む
 十分なストレッチ、ウォーミングアップを行い、ジャンプや、ダッシュなどの運動の繰り返しは避ける。練習の合間や、終了後にクーリング・クールダウンを行う。運動量は特に制限しない。

2度:運動中も痛い
 1度と同じように運動前に十分な、ストレッチを行う。練習量や、強さを減らす。完全休養日を増やす。

3度:日常生活でも痛む
 日常での歩行や、階段の上り下りでも痛ければ、専門医に行きレントゲン写真などの検査が必要です。 運動は中止し、ストレッチ・軽めのウエイトトレーニング・マッサージなどで症状を見て痛みが改善してくれば、少しずつ運動を開始します。

目次に戻る